漢方薬

【四物湯で冷えと貧血を解消!使い方、特徴、注意点について解説!】

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はじめに
  • 四物湯(しもつとう)は、中国伝統医学に由来する漢方薬で、主に血の不足を補い、血行を促進することを目的としています。
  • この漢方は、「女性の良薬」とも称され、特に月経不順、貧血、冷え性、産後の体調不良など女性特有の症状の改善に用いられます。
  • ここでは、四物湯のおすすめポイントと、類似する漢方薬との使い分けについて解説します。

四物湯(しもつとう):71

効果・効能

クラシエ、ツムラ

  • 皮膚が枯燥し、色つやの悪い体質で胃腸障害のない人の次の諸症:
    • 産後あるいは流産後の疲労回復、月経不順、冷え症、しもやけ、しみ、血の道症
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添付文書通りに食前または食間に服用すると消化器症状が出ることがあるので胃腸障害のない人と添付文書では注意書きが書かれています。

後述する対策である程度緩和できるためそこまで過敏になる必要はないと思います。

こんな人に使ってほしい

  • 血虚(けっきょ)症状がある人。補血(ほけつ)が必要となります。
    • 血虚は、脾胃(ひい)の機能低下や肝(かん)による蔵血(ぞうけつ)作用が低下した場合、月経による出血過多不正出血などが原因となります。
  • 冷え性や月経不順、貧血など、多くの女性が抱える問題に対して自然な形で体をサポートし、よりバランスの取れた健康状態へと近づけてくれます。
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血虚症状とは、血(けつ)の量的な不足や血の機能低下を表し、

顔色が悪い、目のかすみ、皮膚の乾燥、爪の変形、動悸や息切れ、月経不順(周期の遅れ)、不眠や物忘れ

などの症状が出てきます。

どこで手に入る?

粉タイプ

  • 三和さんから出ているもので、1日3回、1回1包で10日分ですね。

どんな薬?

構成生薬

  • 地黄(じおう)、当帰(とうき)、芍薬(しゃくやく)、川芎(せんきゅう)で構成されています。
  • 芎帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう)から阿膠(あきょう)、艾葉(がいよう)、甘草(かんぞう)を取り去って出来ました。
  • 補血剤の基本方剤となっています。この方剤を基本としていろいろな方剤が組まれています

生薬ごとの役割

  • 地黄:補血(ほけつ)し、滋陰(じいん)する作用がある。四物湯では補血作用をメインとしているので当帰・芍薬・川芎と合わせて効果を増強している。
  • 当帰:補血に使用され、血の巡りをよくする作用があり、子宮機能の調整を行います。月経痛や月経不順に効果があります。
  • 芍薬:補血し、止痛(しつう)します。味が酸(さん)・苦(く)であるため漏れ出ていくのを防いでいます。お腹の筋肉に働いて痛みを軽減してくれます。
    • 血虚による筋肉の痙攣に対しては甘草(かんぞう)と合わせて芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)として服用するとよく効きます。
  • 川芎:活血行気(かっけつこうき)作用と止痛作用があります。血流改善もあるため生理痛や頭痛などにもよく用いられます。
    • どちらかと言うと理気(りき)薬に分類され、気の巡りを改善することで血の巡りを改善する作用があります。

注意点

地黄(じおう)

  • 消化器症状が出現することがあります。お腹の張りや下痢などの症状が出ることがあります。
  • 食前服用で食欲低下や腹部膨満感など現れたときは食後服用して様子を見てください。もしくは、間を空けて服用するとよいそうです。

川芎(せんきゅう)

  • のぼせる事があります。
    • エキス剤では抜薬出来ないためある程度は我慢するか別の薬を選択することになりそうです。

四物湯を含む方剤

芎帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう):77

  • 地黄(じおう)、当帰(とうき)、芍薬(しゃくやく)、川芎(せんきゅう)、阿膠(あきょう)、艾葉(がいよう)、甘草(かんぞう)で構成されています。
  • 四物湯の元となった方剤で、出血傾向の強い方に使います。
詳しくはこちら
【不正出血の心配から解放!】芎帰膠艾湯の使い方や注意点を解説!
【不正出血の心配から解放!】芎帰膠艾湯の使い方や注意点を解説!

温清飲(うんせいいん):57

  • 地黄(じおう)、当帰(とうき)、芍薬(しゃくやく)、川芎(せんきゅう)、黄芩(おうごん)、黄連(おうれん)、黄柏(おうばく)、山梔子(さんしし)で構成されています。
  • 四物湯+黄連解毒湯(おうれんげどくとう)となっています。
    • 黄連解毒湯:黄芩、黄連、黄柏、山梔子 で構成されています。清熱薬フルセット!みたいな方剤ですね。
  • 補血+清熱したいときに使うものになります。

十全大補湯(じゅうぜんだいほとう):48

  • 地黄(じおう)、当帰(とうき)、芍薬(しゃくやく)、川芎(せんきゅう)、人参(にんじん)、茯苓(ぶくりょう)、白朮(びゃくじゅつ)、甘草(かんぞう)、黄耆(おうぎ)、桂皮(けいひ)で構成されています。
  • 四物湯+四君子湯(しくんしとう)+黄耆+桂皮 となっています。
    • 四君子湯:人参、白朮、茯苓、甘草、【生姜(しょうきょう)、大棗(たいそう)】で構成されています。
  • 血虚+気虚がある方に使用します。
詳しくはこちら
体力回復の強い味方、十全大補湯の効果と活用法の解説
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八珍湯(はっちんとう)

  • 地黄(じおう)、当帰(とうき)、芍薬(しゃくやく)、川芎(せんきゅう)、人参(にんじん)、白朮(びゃくじゅつ)、茯苓(ぶくりょう)、甘草(かんぞう)で構成されています。
  • 四物湯+四君子湯(しくんしとう)となっています。
  • 八珍湯に桂皮(けいひ)と黄耆(おうぎ)を加えると十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)になります。

七物降下湯(しちもつこうかとう):46

  • 地黄(じおう)、当帰(とうき)、芍薬(しゃくやく)、川芎(せんきゅう)、黄耆(おうぎ)、黄柏(おうばく)、釣藤鈎(ちょうとうこう)で構成されています。
  • 四物湯 + 黄耆 + 黄柏 + 釣藤鈎 となっています。

疎経活血湯(そけいかっけつとう):53

  • 地黄(じおう)、当帰(とうき)、芍薬(しゃくやく)、川芎(せんきゅう)、茯苓(ぶくりょう)、蒼朮(そうじゅつ)、牛膝(ごしつ)、防已(ぼうい)、威霊仙(いれいせん)、羗活(きょうかつ)、白芷(びゃくし)、陳皮(ちんぴ)、生姜(しょうきょう)、甘草(かんぞう)で構成されています。
  • 四物湯 + いろいろ!!! って感じのてんこ盛り処方になっています。
  • 補血して、血の巡りをよくして、水捌いて、痛み止めて!って感じになっていますね。
詳しくはこちら
腰痛や神経痛を和らげていく漢方薬
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当帰飲子(とうきいんし)

  • 地黄(じおう)、当帰(とうき)、芍薬(しゃくやく)、川芎(せんきゅう)、蒺䔧子(しつりし)、荊芥(けいがい)、防風(ぼうふう)、黄耆(おうぎ)、何首烏(かしゅう)、甘草(かんぞう)で構成されています。
  • 四物湯 + 荊芥 + 防風 + 色々 となっています。

柴胡清肝湯(さいこせいかんとう)

  • 柴胡(さいこ)、地黄(じおう)、当帰(とうき)、芍薬(しゃくやく)、川芎(せんきゅう)、黄芩(おうごん)、黄柏(おうばく)、黄連(おうれん)、山梔子(さんしし)、桔梗(ききょう)、栝楼根(かろこん)、連翹(れんぎょう)、牛蒡子(ごぼうし)、薄荷(はっか)、甘草(かんぞう)で構成されています。
  • 温清飲(うんせいいん) + 柴胡 + 色々 となっています。四物湯がまるまる入っていますが柴胡が入ったので柴胡剤分類にもなります。
    • 温清飲:四物湯 + 黄連解毒湯(おうれんげどくとう)

大防風湯(だいぼうふうとう):

猪苓湯合四物湯(ちょれいとうごうしもつとう):

荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう):

竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう):

四物湯を一部含んだ方剤たち

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):23

  • 当帰(とうき)、芍薬(しゃくやく)、川芎(せんきゅう)、茯苓(ぶくりょう)、白朮(びゃくじゅつ)、沢瀉(たくしゃ)で構成されています。
  • 四物湯-地黄+茯苓+白朮+沢瀉 となっています。
  • 地黄で消化器症状が出るような人はこちらの方がいいと思われます。また、利水薬(りすいやく)が入っているので浮腫みなどを伴う方に使われます。
詳しくはこちら
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加味逍遙散(かみしょうようさん):24

  • 柴胡(さいこ)、当帰(とうき)、芍薬(しゃくやく)、茯苓(ぶくりょう)、白朮(びゃくじゅつ)、牡丹皮(ぼたんぴ)、薄荷(はっか)、山梔子(さんしし)、生姜(しょうきょう)、甘草(かんぞう)で構成されています。
  • 四物湯-地黄-川芎+色々 となっています。
  • 地黄と川芎が抜けたので大分遠くなってきたのと、柴胡が入っているので四物湯より柴胡剤に分類されるようになりますね。
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消風散(しょうふうさん):22

  • 地黄(じおう)、当帰(とうき)、荊芥(けいがい)、防風(ぼうふう)、牛蒡子(ごぼうし)、胡麻(ごま)、蝉退(せんたい)、苦参(くじん)、蒼朮(そうじゅつ)、木通(もくつう)、石膏(せっこう)で構成されています。
  • 四物湯 – 川芎 – 芍薬 + 荊芥 + 防風 + 胡麻 + 牛蒡子 + 蝉退 + 色々 となっています。
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人参養栄湯(にんじんようえいとう):

  • 地黄(じおう)、当帰(とうき)、芍薬(しゃくやく)、人参(にんじん)、白朮(びゃくじゅつ)、茯苓(ぶくりょう)、甘草(かんぞう)、桂皮(けいひ)黄耆(おうぎ)、陳皮(ちんぴ)、五味子(ごみし)、遠志(おんじ)で構成されています。
  • 四物湯 – 川芎 + 四君子湯 + 黄耆 + 桂皮 + 五味子 + 遠志 + 陳皮 となっています。
  • 十全大補湯から川芎を引いて遠志、陳皮、五味子を追加したものとも言えます。
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滋陰降火湯(じいんこうかとう):

  • 地黄(じおう)、当帰(とうき)、芍薬(しゃくやく)、麦門冬(ばくもんどう)、天門冬(てんもんどう)、陳皮(ちんぴ)、蒼朮(そうじゅつ)、知母(ちも)、黄柏(おうばく)、甘草(かんぞう) で構成されています。
  • 四物湯 – 川芎 + 麦門冬 + 天門冬 + 色々 となっています。

似たような名前の違う方剤たち

四君子湯(しくんしとう):75

  • 人参(にんじん)、白朮(びゃくじゅつ)、茯苓(ぶくりょう)、甘草(かんぞう)、【生姜(しょうきょう)、大棗(たいそう)】
  • 気虚に対する基本方剤となっています。
  • 気虚は脾胃の機能低下が生じることによって起こることが多いので消化吸収を助ける生薬が多く配されています。

四苓湯(しれいとう):

  • 白朮(びゃくじゅつ)、茯苓(ぶくりょう)、沢瀉(たくしゃ)、猪苓(ちょれい)で構成されています。
  • 五苓散(ごれいさん)から桂皮(けいひ)を取り除いた方剤となっています。
  • 桂皮が温めたり、水の動きを付けてくれる生薬のため冷えが無い人や、シナモンが苦手な人に使えます。

四逆散(しぎゃくさん):35

  • 柴胡(さいこ)、芍薬(しゃくやく)、枳実(きじつ)、甘草(かんぞう)で構成されています。
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漢方を学んでいる薬剤師
"元"漢方薬・生薬認定薬剤師です。
漢方の魅力に取りつかれ漢方の魅力を発信しようと決意し、漢方のブログを書き始めました。
初心に帰って再度漢方を学んでいる真っ最中なので同じように漢方勉強したい方や漢方が気になる方に少しでも情報を届けられたらと考えています。
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