基礎理論

漢方薬だから副作用はない?

renoba
  • 漢方薬だから副作用はないでしょう?とか、漢方薬だから安心よね!ってよく質問されたりする。
    • 自然由来だから安心って方がいますが、西洋薬も自然由来な物から抽出しているのが多い事をご存じない方が多い。
      • 例えば、アスピリンという薬はアセチルサリチル酸という物質で、解熱鎮痛剤・消炎剤・抗血小板薬として使われるなどしますが、元はヤナギの樹皮からサリチル酸が分離され、アセチル化を経て副作用の少ないアセチルサリチル酸になりました。
        自然由来ですよね!!!
      • なんと…自然由来なのに胃腸障害が出たり、インフルエンザなどに感染した小児に使用するとライ症候群を引き起こしたり、出血を引き起こしたりします。
renoba
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自然由来!と言う魔法の言葉を好きな方ほどそこら辺の基準があいまいだと思いますね。

  • 少なくとも服用することで体に影響を及ぼしているから効果が得られるわけであって、多すぎたり訳の分からない飲み方をするともちろん副作用が出ます。
    • 短期的に使う漢方薬を際限なく飲み続けていると…など。本来の使い方を無視すれば副作用出るのは自明の理と言えます。
renoba
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くすり を逆から読むと りすく となります。間違った使い方をしないように正しい用法・用量を守ってお使いください。

生薬ごとに知られている副作用

甘草(かんぞう)

偽アルドステロン

  • 甘草を含む処方を大量に服用したり長期服用すると起こす副作用。厚生労働省からも注意喚起が出ています。
    • 甘草は多くの漢方薬に対して矯味、バランス調整の役割を担っているため添付文書を見ると注意文章が記載されています。
      どの漢方薬に入っているの!?と言う問いには…多くの漢方薬に含まれている!!!という外ない。
    • 甘草はその名の通り”甘い草”であるため、私たちの生活している上でも甘味料としていろいろな食品に含まれていることから何気なく日常的に摂取しています。
  • 症状としては、高血圧むくみカリウム低下などが現れることがあります。
    • アルドステロンが体内に塩分や水分を貯めこみ、カリウムを排泄させるようなホルモンとして働いています。
      “偽”が入っているのは見せかけているなどという意味で実際には脳からアルドステロンを出せという指示は出ていません。
  • 芍薬甘草湯毎日飲むとか割と怖い…。
    でも何故かまかり通っている不思議。添付文書でも1日3回と記載されている怖いところ何考えてるんだろうね

柴胡 + 黄芩

間質性肺炎

小柴胡湯とインターフェロンを併用したことによる副作用。

山梔子(さんしし)

腸間膜動脈硬化症

  • 山梔子が原因薬物として挙がっている。山梔子が含まれている処方を長期間服用(5年以上)していると発症する可能性があるとされており、継続する必要があるのであれば定期的な消化管検査受けるようにとされる。
    そもそも山梔子は継続使用するものではない生薬だとか。
  • 添付文書も改定されて、
    「サンシシ含有製剤の長期投与(多くは5年以上)により、大腸の色調異常、浮腫、びらん、潰瘍、狭窄を伴う腸間膜静脈硬化症があらわれるおそれがある。長期投与する場合にあっては、定期的にCT、大腸内視鏡等の検査を行うことが望ましい。」
    と、注意文書が追加されたくらい。
  • 山梔子を含む方剤は?
    • 加味逍遙散、梔子柏皮湯 …

麻黄(まおう)

  • 言わずもがな知られたエフェドリンの原料となった生薬です。劇薬です。
  • ドーピング検査に引っかかります。
  • アドレナリン受容体のα、βの両方に作用します。
    • α 血圧上昇作用、瞳孔散大、前立腺収縮、etc…
    • β:気管支拡張作用、血管拡張作用、心収縮力増強、etc…
  • 気管支拡張作用により呼吸は楽になるのですが、人によっては高血圧、前立腺肥大症の悪化、眼圧上昇、動悸(不整脈など) などの副作用が生じることがあります。

附子

  • 主成分はアコニチンと呼ばれるアルカロイドを含み、強い鎮痛作用があるとされますが、過剰摂取をすると中毒を起こすことが知られています。

妊婦さんに注意を要する生薬

大黄(だいおう)

  • 流産の恐れがある。

紅花(こうか)

  • 流産の恐れがある。

牛膝(ごしつ)

桃仁(とうにん)

  • 流産の恐れがある。

芒硝(ぼうしょう)

牡丹皮(ぼたんぴ)

  • 流産の恐れがある。

妊婦さんに注意が必要な処方

芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)

  • 流産のリスクが増える。

越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)

  • 妊娠時は服用不可
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漢方を学んでいる薬剤師
"元"漢方薬・生薬認定薬剤師です。
漢方の魅力に取りつかれ漢方の魅力を発信しようと決意し、漢方のブログを書き始めました。
初心に帰って再度漢方を学んでいる真っ最中なので同じように漢方勉強したい方や漢方が気になる方に少しでも情報を届けられたらと考えています。
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