漢方の勉強~~~方剤編~~~
- 方剤を勉強するなかで、何の薬?どんな証に使っていくの?と考えていくわけですが、まずは構成生薬をある程度覚えていく必要があります。
- 何故か?というと、類似している方剤と鑑別していく過程で1つ1つの生薬の特性などを理解していく必要があるので構成生薬を知らないと鑑別することがそもそもできないからです。
- 覚えられたら苦労しないよ!!!という声が聞こえてきそうですが元々自分もそんな感じでした。今もなお覚えた!!!また忘れた~~~!の繰り返しです。
- この記事では実際の考え方や覚え方など紹介していけたらと思います。
- 基礎の理論などは…後日書いていきます。少し横に置いていきます。
- それでは~~~~~行ってみよう!!!
皆さんへ割と馴染みがある漢方薬で説明していきたいと思います。
馴染みある漢方って?
よくテレビCMで流れていて知名度もあり、使う頻度の多い葛根湯を使っていきたいと思います。
名前だけ聞いたことあります!でも何に使うか知らないんですよね。
葛根湯(かっこんとう)/傷寒論(しょうかんろん)
- 葛根(かっこん)、麻黄(まおう)、桂皮(けいひ)、芍薬(しゃくやく)、生姜(しょうきょう)、大棗(たいそう)、甘草(かんぞう)で構成されています。
速いです!すでに置いていかれています!!!覚えられる気が1mmもしないです
僕も最初は葛根しかわからなかったです…。いや、本当に。
大丈夫なのでゆっくりとついてきてください。
名前の由来~~~名前の付け方編~~~
構成生薬によるもの
- 方剤中に含まれている構成生薬の名前が由来となっているもの。
- 葛根湯(かっこんとう):葛根(かっこん)、麻黄(まおう)、桂皮(けいひ)、芍薬(しゃくやく)、生姜(しょうきょう)、大棗(たいそう)、甘草(かんぞう)
- 麻黄湯(まおうとう):麻黄、桂皮、杏仁、甘草
- 芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう):芍薬、甘草
- 麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう):麻黄、附子、細辛
- 麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう):麻黄、杏仁、甘草、石膏
あくまで一例ですが中に入っている生薬で名前が決まっているものがあります。
芍薬甘草湯みたいに入っている生薬全部の名前もあってわかりやすいかと思います。
一番最後の麻杏甘石湯は生薬の名前じゃないですよ?
ぱっとみると違いますがよくよく見ると中に入っている生薬の名前の頭文字をとっているんです。
麻:麻黄 杏:杏仁 甘:甘草 石:石膏 となっていますね。
生薬の名前の一部だけ取っているものもあるんですね
方剤の中に入っている生薬が分かるようになってきましたね。
では、番外編の話をしていきましょう。
番外編:加(か)、去(きょ)、合(ごう)
加(か)
- 小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう):生姜、半夏、茯苓
生薬の名前そのままで半夏と茯苓が入っているんですね!あとは頭文字の小は生姜の事ですね!
あれ?何かよくわからない漢字が入ってますね?”加”ってなんですか?
- 小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう):生姜、半夏、茯苓
”加”という文字が入ると〇〇という”生薬を加えた”ものですよって意味になります。
実は小半夏湯という方剤に茯苓を加えましたというのが小半夏加茯苓湯になります。
生薬を加えるときは”加”を使うんですね。覚えておきます。
”加”が分かったところでもう一つ。
去(きょ)
- 柴胡加竜骨牡蠣湯去大黄(さいこかりゅうこつぼれいとうきょだいおう):柴胡、黄芩、半夏、人参、生姜、大棗、桂皮、茯苓、竜骨、牡蛎
うわっ!?なにか呪文みたいな漢方が出てきましたよ!
呪文ではないですがきっちり読めると詠唱出来た感じがして楽しくなってきますよね♪え?そうでもない?
先ほどの”加”と同様に”去”という文字が入ると〇〇という”生薬を取り去った”という意味になります。
足す、引くでいいような気がしますが、”加”える と 取り”去”るってところから来ているんですね。
合(ごう)
生薬の数によるもの
- 方剤中に含まれている構成生薬の数が名前の由来となっているもの。
- 四物湯(しもつとう):地黄、当帰、芍薬、川芎
- 五苓散(ごれいさん):白朮、茯苓、沢瀉、猪苓、桂皮
- 六君子湯(りっくんしとう):人参、甘草、茯苓、白朮、陳皮、半夏、((生姜)、(大棗))
- 七物降下湯(しちもつこうかとう):地黄、当帰、芍薬、川芎、黄耆、黄柏、釣藤鈎
- 八味地黄丸(はちみじおうがん):地黄、山茱萸、山薬、牡丹皮、茯苓、沢瀉、附子、桂皮
- 十全大補湯(じゅうぜんだいほとう):人参、甘草、茯苓、白朮、地黄、当帰、芍薬、川芎、黄耆、桂皮
数字が入っている漢方薬って意外にあるんですね。
数字を見つけたら何個の生薬が入っていますよって覚えるときに薬に立ちますかね。
数の少ないものならなんとか覚えていけるかもしれませんね!
その意気です!
あれ?よく見るとおかしなのがある気がする。6個入ってるって書いてあるのに8個ある!嘘だ!嘘つきましたね!!!
嘘じゃないです許してください。これにはちゃんと理由があります。
薬効や使用目標によるもの
- 方剤でどのように身体に作用させていきたいのか、どのような症状があればつかっていくのかなどが名前の由来となっているもの。
- 抑肝散:肝の昂りを抑えて眠れない、イライラする などの症状を軽減します。
- 十味敗毒湯:毒に敗れる…負けちゃうって事ではなく、身体に張ってきた毒をやっつけようとしています。
- 消風散:風湿(ふうしつ)の邪(じゃ)を消す…身体から追い出すことでかゆみなどの諸症状を改善します。
基本方剤
基本方剤?なんなんですかそれは???
その方剤の元となった方剤として考えるとわかりやすいと思います。
葛根湯のもとになったのは桂枝湯だよってことですね。
その他にも六君子湯であれば四君子湯、芎帰膠艾湯は四物湯がもとの方剤となっています。
構成生薬から見ていく
- その方剤のメインとなる生薬によって方剤を分けています。
柴胡剤(さいこざい)
- 柴胡が主として働きかけ、胸脇苦満に対して使っていきます。
- 小柴胡湯、大柴胡湯、柴胡桂枝湯 など。
地黄剤(じおうざい)
- 地黄が主として働きかけ、腎虚や血虚に対して使っていきます。
- 八味地黄丸、四物湯、十全大補湯 など。
参耆剤(じんぎざい)
- 人参+黄耆が主として働きかけ、気虚による倦怠感などに対して使っていきます。
- 補中益気湯、十全大補湯、人参養栄湯 など。
石膏剤(せっこうざい)
- 石膏が主として働きかけ、身体の内側にある熱を冷ましてくれます。口渇を伴ったりすることがあります。
- 麻杏甘石湯、白虎加人参湯、五虎湯 など
麻黄剤(まおうざい)
- 麻黄が主として働きかけ、発汗・鎮咳させるために使います。風邪などに使われていることが多いです。
- 麻黄湯、麻黄附子細辛湯、葛根湯、麻杏甘石湯 など。
附子剤(ぶしざい)
- 附子が主として働きかけ、冷えや痛みを改善してくれます。非常に強い鎮痛作用を示し、麻薬性鎮痛薬にも匹敵する効果があるとされます。
- 八味地黄丸、桂枝加朮附湯、麻黄附子細辛湯 など。
つまり、葛根湯は麻黄剤という事ですね!
そういうことです。つまり葛根湯は汗を出させて、咳を止めたい時に使いたい方剤という事がわかると思います。
ちなみに、メインの生薬を君薬(くんやく)と呼び、それ以外を臣薬(しんやく)・佐薬(さやく)、使薬(しやく)と呼んだりもします。
- ~~~以下編集中~~~
元となった方剤からみていく
- 基本となる方剤を含んだ方剤があります。
- 派生していると解釈したほうが分かりやすいのかもしれません。
黄連解毒湯類(おうれんげどくとうるい)
- 黄連、黄芩、黄柏、山梔子を含んだ方剤で、
- 温経湯、荊芥連翹湯、柴胡清肝湯 など。
桂枝湯類(けいしとうるい)
- 桂皮、芍薬、生姜、大棗、甘草を含んだ方剤で、身体を温めて消化吸収を助けてくれます。
- 桂枝加芍薬湯、桂枝加竜骨牡蛎湯、葛根湯 など。
建中湯類(けんちゅうとうるい)
四君子湯類(しくんしとうるい)
- 人参、甘草、茯苓、白朮、((生姜)、(大棗))を含んだ方剤で、気虚に対する基本方剤となっており倦怠感や消化吸収の低下を改善してくれます。
- 六君子湯、十全大補湯、人参養栄湯 など。
四物湯類(しもつとうるい)
- 地黄、芍薬、川芎、当帰を含んだ方剤で、血虚に対する基本方剤となっており、
- 十全大補湯、芎帰膠艾湯、温清飲 など。
瀉心湯類(しゃしんとうるい)
- 黄連、黄芩をメインとした方剤で
- 三黄瀉心湯、黄連湯、半夏瀉心湯
承気湯類(じょうきとうるい)
人参湯類(にんじんとうるい)
- 人参、白朮、甘草、乾姜 を含んだ方剤で気虚による消化機能低下や冷えに使っていく。
- 桂枝人参湯、附子理中湯
白虎湯類(びゃっことうるい)
- 知母、石膏、甘草、粳米を含んだ方剤で、裏熱による口渇などに使っていく。
- 白虎湯、白虎加人参湯、白虎加桂枝湯 など。
これらの事から葛根湯は桂枝湯類という事が分かったかと思います。
桂枝湯類の中に葛根湯が入っているという事ですか?
その通りです。
桂枝湯に葛根と麻黄を加えた方剤とも言えますね。