漢方薬

当帰芍薬散でサヨナラ!女性の生理痛やむくみを改善する方法

renoba
はじめに
  • 頭痛、めまい、肩こりや生理痛、冷え性 などの症状がある方へ。
  • この漢方薬は、体の中での血液の流れを改善し、さまざまな体調不良を引き起こす血虚(けっきょ)の状態を改善することを目指しています。
  • この記事では、当帰芍薬散の効果、使用方法、適応症状について解説します。
  • 女性に使われることの多い漢方薬を説明していきたいと思います。
    第一回目の漢方薬は当帰芍薬散!!!
  • 当帰芍薬散はどちらかというと女性に使われることの多い方剤です。
  • 血虚(けっきょ)、水毒(すいどく) という証(病態・症状)を伴っているような方に使われます。(血虚は西洋医学的な貧血とは異なる解釈です。)
    血虚を治療するには時間がかかるため長期間服用できるような生薬で構成されています。
    • 血虚と言うより瘀血(おけつ)症状が多い方には桂枝茯苓丸を見てもらった方がいいかもしれません。
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漢方的には生理痛がきついという状態そのものが異常らしいです。

ピッタリ合う漢方を選択すると非常に楽になるようなので生理痛がきつい方は是非とも漢方相談を受けてみてください。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):23

効果効能

  • ツムラ:筋肉が一体に軟弱で疲労しやすく、腰脚の冷えやすいものの次の諸症
    • 貧血、倦怠感、更年期障害(頭重、頭痛、めまい、肩こり等)、月経不順、月経困難、不妊症、動悸、慢性腎炎、妊娠中の諸病(浮腫、習慣性流産、痔、腹痛)、脚気、半身不随、心臓弁膜症

こんな人に使って欲しい

  • 冷え性むくみ、皮膚などにツヤがない(血色が悪い)、妊娠中の諸症状(むくみ、腹痛、流産 など)、月経不順生理痛、頭重感 などに使われます。
    • 昔から妊婦さんにも安心して使えるような安胎薬として用いられてきた経緯があります。
    • 妊娠中のつわりに対しては小半夏加茯苓湯を合わせて飲むとよいです。
  • 妊婦の腹痛に対しては、異常所見の見られないものが対象となります。

どんな薬?

構成生薬

  • 当帰(とうき)、川芎(せんきゅう)、芍薬(しゃくやく)、茯苓(ぶくりょう)、白朮(びゃくじゅつ) 沢瀉(たくしゃ)で構成されています。

生薬ごとの役割

  • 当帰 + 川芎 + 芍薬 のセットで血虚治療をしようとしています。地黄を入れてしまうと胃腸障害が出てしまうことがあるため抜薬されています。補血剤の組み合わせとなります。
    • 当帰:補血して全身の栄養状態を改善し、血の巡りを促進してくれます。子宮に対して働きかけて月経を調節してくれます。
    • 川芎:血中の理薬とも呼ばれ、補血作用と理気作用(気を巡らせる)があります。子宮に対して普段は収縮的に、妊娠中は弛緩的に働きかけます。気を上へと昇らせる事で頭重感など軽減してくれます。
    • 芍薬:おもに平滑筋への血流を増加させ、疼痛を軽減してくれます。腸管に働くと腹痛を軽減し、子宮筋に対しては弛緩させる働き(収縮すると腹痛を生じたり、流産してしまう)をします。
      • 川芎による副作用を軽減してくれる目的でも配合されています。
  • 茯苓 + 白朮 + 沢瀉 のセットで水毒治療(体内の水分バランスが崩れている状態。どこかで水分が足りず、どこかで水分が過剰になっている。喉は乾いているのに足は浮腫んでいる など)をしようとしています。
    • 茯苓、白朮:腎にある水分(巡りの悪くなった水分や老廃物などが入った水分)を脾胃へ持ち上げるのを助けてあげる。
    • 沢瀉:肺から全身に巡ろうとしている水分を下へと降ろすのを助けてあげる。

その他

  • 男性と異なり女性には月経に伴う出血があります。出血するという事は、血(けつ)の中には栄養が含まれており、血(けつ)の喪失による栄養不足が常態化しやすいともいえる。
    • また、妊娠している女性であれば、常に胎児に栄養を分け与えているため栄養不足となっているのは言うまでもない。
      →とすれば、補血していくという治療法が必要となります。(西洋医学的に考えても出血はHbの喪失を伴うので浮腫が発生しやすい状態ともいえるか…。)

覚え方など

  • 四物湯 + 四苓湯 – 猪苓 -地黄 とも解釈できる方剤です。
    • 地黄:滋陰、補血作用のある薬です。水気を増やしてしまうのであえて外しています。
    • 猪苓:利水作用のある薬です。

注意点

  • 添付文書上は妊婦・産婦・授乳婦への投与について
    妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。 
    • とされていますが、この文言については殆どの薬に記載されているため他の資料にて確認することとなります。)
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添付文書にある “妊婦・産婦・授乳婦への投与について” の項目はほとんど記載内容一緒で、欲しい情報何一つ載ってないから何言ってんだこいつ…と使えない子

  • 血虚、水毒に使用される方剤であり、女性だけに使われるわけではないです。
    • 男性にも上記血虚症状、水毒症状があれば使えます。
    • 川芎:気を上へと昇らせる作用によりのぼせることがあるようです。煎じ薬であれば減量したり減薬したりしてもらったほうがいいかもしれません。

類似の漢方薬は?

五苓散(ごれいさん):17

  • 白朮(びゃくじゅつ)、茯苓(ぶくりょう)、沢瀉(たくしゃ)、猪苓(ちょれい)、桂皮(けいひ)で構成されています。

四物湯(しもつとう):

  • 地黄(じおう)、当帰(とうき)、芍薬(しゃくやく)、川芎(せんきゅう)で構成されています。

鑑別していく方剤

加味逍遙散(かみしょうようさん):24

  • 柴胡(さいこ)、当帰(とうき)、芍薬(しゃくやく)、茯苓(ぶくりょう)、白朮(びゃくじゅつ)、牡丹皮(ぼたんぴ)、山梔子(さんしし)、薄荷(はっか)、炙甘草(しゃかんぞう)、生姜(しょうきょう)で構成されています。
    • 逍遙散に山梔子、薄荷、牡丹皮を追加したものになります。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん):25

  • 桂皮(けいひ)、芍薬(しゃくやく)、茯苓(ぶくりょう)、桃仁(とうにん)、牡丹皮(ぼたんぴ)で構成されています。
  • 瘀血を伴う方に使われます。
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漢方を学んでいる薬剤師
"元"漢方薬・生薬認定薬剤師です。
漢方の魅力に取りつかれ漢方の魅力を発信しようと決意し、漢方のブログを書き始めました。
初心に帰って再度漢方を学んでいる真っ最中なので同じように漢方勉強したい方や漢方が気になる方に少しでも情報を届けられたらと考えています。
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