健康コラム

冷え性・むくみに効く漢方薬5選|体質改善に役立つおすすめ処方とは?

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冷え・むくみに悩むあなたへ

「冷え性」や「むくみ」は、特に女性に多く見られる悩みです。手足が冷たい、夕方になると足がパンパンになる、身体が重だるい――そんな経験がある方も多いのではないでしょうか。

西洋医学では自律神経や血流の問題とされるこれらの症状も、漢方の視点では「気・血・水(き・けつ・すい)」のバランスの乱れとしてとらえられます。
漢方薬は、そうした全身のバランスに働きかけ、根本から整えていくという特長を持っています。

「冷え性」「むくみ」の対策として、現場の薬剤師や漢方医がよく勧める人気の処方を5つ厳選してご紹介します。

冷え性・むくみはなぜ起こる?東洋医学での解釈

東洋医学では、人の身体を「気(エネルギー)」「血(血液)」「水(体液)」の3つの要素が調和して流れていることで健康が保たれると考えます。

  • 冷え性は「気」や「血」の巡りが悪くなった結果、熱が身体の末端まで届かないことが原因とされます。
  • むくみは「水」の巡りが滞り、身体の隅々に余分な水分が溜まってしまう状態とされます。

このように、冷え性・むくみはいずれも「巡りの悪さ」から生じる症状であり、漢方では「補う」だけでなく「巡らせる」ことが重視されます。

冷え・むくみにおすすめの漢方薬5選

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

こんな人におすすめ

-女性の冷えとむくみに万能!生理不順にも◎

  • 貧血気味で顔色が悪い
  • 冷え性とむくみの両方がある
  • 生理不順やPMS(月経前症候群)も感じる

当帰(トウキ)や芍薬(シャクヤク)など、血の巡りを良くする「補血薬」が中心の処方です。

特徴

同時に、沢瀉(タクシャ)や茯苓(ブクリョウ)といった利水作用のある生薬も含まれており、「血を補いながら水もさばく」バランス型の処方です。産婦人科系のトラブルにも多用されます。

詳しくはこちら
当帰芍薬散でサヨナラ!女性の生理痛やむくみを改善する方法
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防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)

こんな人におすすめ

-むくみ体質+汗っかきにおすすめ!

  • 体力があまりない
  • 汗かきでむくみやすい
  • 梅雨時期や夏に不調を感じる

防已(ボウイ)や黄耆(オウギ)といった、身体の表面の「水の停滞」に働きかける生薬を配合。

特徴

身体の余分な水を外へ追い出しながら、体表を守って汗のコントロールを助けます。湿気によるだるさ、汗っかきなのに冷えるといった人に適しています。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

こんな人におすすめ

-冷えのぼせ・血行不良タイプの冷えに!

  • 顔が赤いのに手足が冷たい
  • 生理痛が強く、血の塊が出る
  • 肩こり・頭痛が慢性的
  • 更年期障害の初期症状にも

「血の巡り」を良くすることで、体のバランスを整えます。

特徴

「瘀血(おけつ)」と呼ばれる血行不良の改善に用いられます。体が冷えているのに顔がほてるような“冷えのぼせ”の人に適しています。

詳しくはこちら
生理痛・冷え性にアプローチ!桂枝茯苓丸の効果と活用
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真武湯(しんぶとう)

こんな人におすすめ

— 冷えからくる下痢・めまいに対応

  • 下半身が冷えやすい
  • 足がふらつく、力が入らない
  • 冷えると下痢をしやすい
  • むくみとともに胃腸虚弱がある

「附子(ぶし)」という温め効果の強い生薬がポイント。虚弱体質向けのパワー補強処方です。

特徴

体を芯から温め、胃腸の働きを助けながら水分の偏りを改善します。冷えでお腹を壊しやすい、下半身が冷えて力が出ないという方におすすめ。

苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)

こんな人におすすめ

— めまい・ふらつき・むくみのある人に

  • 立ちくらみ、めまいが起きやすい
  • 天候や気圧の変化に弱い
  • 眠りが浅く、夢をよく見る
  • 水分代謝が悪く、むくみやすい

「水」の偏在を整えることで、内耳の不調や気象病のような症状にアプローチできます。

特徴

脳や耳まわりの水分代謝を改善し、自律神経の乱れからくる症状に効果的。むくみ+ふらつきがあるタイプに使われます。

まとめ:体質と症状に合った選び方を

今回紹介した5つの漢方薬は、冷え性やむくみに悩む人の間で特に人気が高い処方です。ただし、漢方はあくまで「体質に合ってこそ効く」もの。自己判断で服用するよりも、専門家に相談し、自分に合ったものを見つけるのが理想です。

冷えやむくみは見逃されやすい不調ですが、放置しておくと慢性疲労や免疫力の低下、月経トラブル、精神面への影響もあります。日常生活の中で「体を冷やさない工夫」とともに、漢方をうまく取り入れて、根本から整えていきましょう。

ABOUT ME
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漢方を学んでいる薬剤師
"元"漢方薬・生薬認定薬剤師です。
漢方の魅力に取りつかれ漢方の魅力を発信しようと決意し、漢方のブログを書き始めました。
初心に帰って再度漢方を学んでいる真っ最中なので同じように漢方勉強したい方や漢方が気になる方に少しでも情報を届けられたらと考えています。
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