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【初心者向け】煎じ薬とエキス剤の違いとは?

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そもそも「煎じ薬」と「エキス剤」って何が違う?

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煎じ薬(せんじぐすり)とエキス剤についてまずは簡単にまとめてみたいと思います。

項目煎じ薬エキス剤(顆粒・錠剤)
形態生薬を煮出した液煎じ液を濃縮・乾燥した粉末
作り方自宅または薬局で土瓶・土鍋で煮出すお湯に溶かす/錠剤を服用
香り・粘度◎ 生薬本来の香気ととろみ△ 揮発成分や粘度は一部減少
成分量の調整生薬を増減してオーダーメイド可定量で均質、再現性が高い
手間× 30分〜/後片付け必要◎ 1分で服用、携帯性も高い
価格生薬+手間でやや高め保険適用で自己負担少なめ

コーヒーで例えると、(コーヒーに詳しいわけではないので表現が違ったらすいません^^;)

豆から焙煎して、挽いて、ドリップして…ってのが煎じ薬で、

お湯を注ぐだけで完成!…ってのがエキス剤 と考えると分かりやすいでしょうか?

特に香りや成分量などは産地や季節、生薬自体の個体差により安定しません

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畑でとれる野菜が全て形が違うのと同じで、すべての生薬は少しずつ色や形、大きさなどが違うため全く同じ効果は得られないという現実があります。

じゃあダメじゃん!と思うかもしれませんが…

煎じ薬は効果の違いが出やすいとも言えます。が、生薬量を調節したりすることで効果を安定させることもできます。寧ろ体調に合わせて調節できることが魅力です。

エキス剤も同様に生薬を使用しているのでロット間でバラツキは実際のところ出ます。同一ロット内では基本的に均一と言えるでしょう。煎じ薬よりはるかに安定しています。

煎じ薬のメリット・デメリット

メリット

  • 揮発油や粘性成分まで摂取
  • 生薬量を微調整できる(虚弱なら減量、急性症状なら増量など)
  • 香りや味で変化を体感しやすい

デメリット

  • 毎日煮出す手間と時間
  • 夏場は腐敗リスクが高く保存性が低い
  • 外出・旅行時の継続が難しい
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夏場になると腐敗リスクが本当に高くなります。

エキス剤のメリット・デメリット

メリット

  • 時短・携帯性◎ 朝の忙しい時間や職場でも続けやすい
  • 成分含量が規格化→ 医師・薬剤師の情報共有が容易
  • 保険適用の医療用ならコスパが良い

デメリット

  • 生薬特有の香気・粘度はややマイルド
  • 大量の糖類や賦形剤が苦手な人も
  • オーダーメイド調整は基本できない
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乳糖で賦形しているので乳糖不耐症の人には不向きでしょうか。

あとは、建中湯類が膠飴を使っていることが多く、実は糖尿病の人にとっては問題になりうることもあります。

薬剤師目線での「これは煎じ薬」

ケース理由
慢性皮膚疾患+体質改善地黄や当帰などが皮膚を潤す
煎じる前提で設計された処方真武湯や小柴胡湯など香り成分がカギ
証がコロコロ変わる虚弱タイプ生薬量を増減できる
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アトピー性皮膚炎の方とかは特に体質改善も込めてこられることが多いですね。ステロイドや既存の西洋薬ではいつまでも治らないので漢方へ…という方がよく来られます。

飲む前と比べて大分良くなりましたと聞いてやっぱり体質改善効果なんだなとしみじみ感じます。

「エキス剤で十分」なパターン

ケース理由
風邪のひき初めに葛根湯あっ、風邪かも?と思った時に携帯出来てすぐ飲める
継続投与が前提の生活習慣病の補助六君子湯・牛車腎気丸など長期服用は利便性を重視
服薬コンプライアンスが課題の高齢者火を扱う心配なく、管理しやすい
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風邪のひきはじめに葛根湯!は 今すぐ飲まなきゃ効かないタイミングというものがあるので煎じ薬をもらってる暇がないし、煎じている時間もないので葛根湯を熱いショウガ湯に溶いてグッと飲めば効果てきめんです。

詳しくはこちら
風邪の初期症状に効果的!葛根湯で早期回復を目指そう
風邪の初期症状に効果的!葛根湯で早期回復を目指そう

よくある疑問 Q&A

効き目は煎じ薬の方が強い?

A:香気・粘度を重視する疾患では煎じ薬が優位。ただしエキス剤で有効性が証明されている処方(葛根湯、抑肝散など)も多い。

コストは?

A:日量で比較すると、医療用エキス剤(保険3割負担)は約80〜150円。煎じ薬は生薬代+手間で200円前後。ただしオーダーメイド価値をどう見るかで判断が変わる

煎じ薬をまとめ煎じして冷蔵保存してもいい?

A:原則当日煮出しが推奨。せいぜい3日分までで、保存は煮出して常温にまで冷めたものをペットボトルなどの密閉容器に移し替えて冷蔵庫保管してください。それ以上は普通に…腐ります。(保存料入ってないものを放置とか…ひぇっ)

簡単にまとめ

選択のポイントは「症状 × ライフスタイル」

チェックポイント煎じ薬が向くエキス剤が向く
香り・粘度が治療鍵
オーダーメイド重要
時短・携帯性
長期継続△/◎(好み次第)
価格重視(保険)

迷ったら…

  • まずエキス剤で試す
  • 効果や体感が不足・・・→煎じ薬へ切り替え
  • 症状が落ち着いてきた、継続が負担・・・→再びエキス剤へ戻す
  • 症状が再燃・・・→煎じ薬へ戻る
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うちの薬局にも煎じ薬でよくなったらエキス剤へ変えて、エキス剤でも問題なければ続けて、次第に回数が減って、廃薬(飲まなくなる)…しばらくして悪くなったら煎じ薬に戻って

って方がちょこちょこいます。

体質改善効果で飲まなくてよくなる例もあるのでそうなればしめたものですよね。薬いらずとなります。

再燃する方はきっと体質が治りきっていないのか、普段の食生活などで体調が悪化する方向へ行く原因があるパターンかもしれません。
→食養生という考えに結び付けていく必要があるでしょう。 

おわりに

どちらが優れている? ではなく、どう使い分けるか

煎じ薬は“手間=効き目”を感じられるクラフト感、エキス剤は“続けやすさ=結果”を出しやすい合理性。
「症状のフェーズ」「患者の生活」「費用対効果」を総合的に考え、最適な形を選ぶのが薬剤師としてのベストアドバイスとなります。

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是非薬剤師に相談してベストな漢方薬の形態を選んでもらいましょう!

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漢方を学んでいる薬剤師
"元"漢方薬・生薬認定薬剤師です。
漢方の魅力に取りつかれ漢方の魅力を発信しようと決意し、漢方のブログを書き始めました。
初心に帰って再度漢方を学んでいる真っ最中なので同じように漢方勉強したい方や漢方が気になる方に少しでも情報を届けられたらと考えています。
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