【『薬屋のひとりごと』を漢方薬剤師が読み解く】気になる所3選!
どうもこんにちは!
普段は漢方について勉強しながら記事を書いているrenobaです。
今日は普段の記事とは異なる内容で記事を書いていこうと思いました。
それはナゼか…愛読している『薬屋のひとりごと』が待望のアニメ化を果たしたからです!!!パチパチパチ
え?遅くないか!?って?えっと…2023.10.22 放送開始…気のせいでしょう!
大好きな声優である悠木碧さんに見とれ…聞きほれていたとは言えない…。
では、気を取り直して、
コミック版を見ていく中で、僕自身が薬剤師として、漢方を学ぶものとして気になるところをいくつかピックアップしていきたいと思います。
あ…いくつかネタバレになってしまうのでどうにもネタバレが嫌と言う方は回れ右(ブラウザバック)をしていただくか、コミックを購入してからこの記事をご覧になってください。
買うなら持ち運びも楽ちんな電子版がおススメですね。
大事な忠告をしておいたのでネタバレすんなよ!!!って文句は出てこないと思います。(きっと…)
今回コミックのレビュー的なことを記事とする初めての試みであり、拙い文章はご勘弁くださいませ…。
ではまず1つめ!
白粉(おしろい)についての1コマです。
猫猫が「この白粉に含まれる毒に身体を蝕まれ命を落としました」と述べているシーンですね。
妃とその子供が衰弱しており、過去にも同様に衰弱死した皇帝の子供がいたため呪いではないか?と噂されていました。
猫猫がうわさを聞きつけ、状況を確認していく中で原因と思われる真相にたどり着き置手紙をしました。
手紙を出した主は?と捜索され、見つかってしまって白状し、手紙の意図について解説をしている場面です。
白粉の何がダメだったのか…そこに焦点を当てて深堀していきたいと思います。
白粉の秘密
白粉の歴史と文化的背景
- 白粉の起源と歴史的変遷
- 日本の伝統文化における白粉の使用
- 世界各地の美の基準と白粉
白粉の歴史
起源
- 古代エジプトやギリシャ、ローマでも顔を白くする化粧が行われていたことが記録されています。
- 白粉の使用は古代から見られ、特に中国や日本の伝統文化で重要な役割を果たしてきました。
発展
- 白粉は中国の唐の時代に大流行し、後に日本の奈良時代、平安時代に伝わりました。
- 日本では、特に平安時代に貴族の間で白い肌が美の基準とされ、広く用いられるようになりました。
江戸時代
- 江戸時代には、白粉が庶民の間にも広まり、芸者や歌舞伎役者などが用いることで一般化しました。
- この時代には、白粉の質も向上し、より細かい粉末が作られるようになりました。
文化的背景
美の基準
- 白い肌は、清潔さや貴族的な美しさの象徴とされていました。
- 白粉は社会的地位やファッションの一部として、顔だけでなく首や手にも用いられました。
伝統芸能と白粉
- 日本の伝統芸能、特に歌舞伎や舞妓、芸者の世界では白粉が不可欠なものとされています。
- 舞台上での表情を際立たせ、特定のキャラクターを表現するために用いられます。
現代への影響
- 現代では、白粉の使用は大幅に減少しましたが、伝統芸能や特別なイベントでの使用は続いています。
- 現代の化粧品技術の発展により、より安全で健康的な代替品が多く用いられています。
白粉の成分とその毒性
- 白粉を構成する主要成分
- 毒性を持つ成分とその影響
- 現代の化粧品における白粉成分の使用
白粉の成分
主要成分
- 伝統的な白粉の主成分は鉛白(鉛の化合物)です。これは、その高い遮蔽力と白さから選ばれていました。
- 鉛白は主に二酸化鉛(PbO2)や炭酸鉛(PbCO3)で構成されています。
他の成分
- 時にはタルク、米粉、あるいは他の白色を出す鉱物や植物性の粉末が混ぜられることもありました。
- 現代の製品では、鉛白の代わりに安全なチタン酸化物や亜鉛酸化物が使用されることが一般的です。
白粉の毒性
鉛白の毒性
- 鉛は重金属であり、人体にとって有毒です。
- 皮膚からの鉛の吸収は比較的少ないものの、長期間の使用により体内に蓄積されることがあります。
健康への影響
- 鉛の蓄積は神経系の損傷、腎臓の問題、さらには血液の障害を引き起こす可能性があります。
- 特に妊娠中の女性や子供にとっては、非常に危険な成分です。
現代の対応
- 現代の化粧品業界では、鉛を含む白粉の使用は厳しく規制されています。
- 安全性が確立された成分のみが化粧品に使用されるようになり、消費者の健康と安全が保護されています。
白粉の健康への影響
- 長期的な白粉使用による健康リスク
- 白粉と皮膚病の関係
- 医学的見地からの白粉の評価
心や身体への影響
皮膚への影響
- 白粉の主成分である鉛白は、長期間使用すると皮膚に悪影響を及ぼす可能性があります。
- 皮膚炎、かぶれ、乾燥などの症状が発生することがあります。
- また、皮膚が鉛を吸収することで、皮膚の老化や損傷を早める可能性があります。
全身への影響
- 鉛は体内に蓄積されると、神経系、消化器系、循環器系などに様々な影響を及ぼす可能性があります。
- 重度の場合、鉛中毒による全身状態の悪化が見られることがあります。
- 鉛蓄積は特に妊婦や成長期の子供にとって深刻な健康リスクをもたらします。
精神的な影響
- 鉛の毒性により、神経系が影響を受けると、気分の変動や集中力の低下が見られることがあります。また、慢性的な鉛の曝露はうつ症状や不安感を引き起こすことも報告されています。
当時は白が美の象徴とされていた時代。白粉に手を伸ばして美貌を手に入れ酔っていたようです。
その裏に潜んでいる毒性に気づくこともなく…。
無知は罪ですね と話す妃の悲しげな顔…やはり知識は武器にもなり、防具にもなることが分かりますね。